2020年4月から、大企業を対象に電子申請の義務化が始まります。社会保険や雇用保険をはじめ各種手続きの申請・届出は、電子政府「e-Gov(イーガブ)」に集約。業務効率がアップし、企業の人事・労務担当者はラクになる!はずですが…。「e-Govは使いにくい!」「紙のほうが楽だ!」といった嘆きの声もチラホラ!実務担当者が頭を抱えるe-Govの操作方法を現役人事部女子がレクチャーします!
e-Govのサイトに行くことなく、申請も照会や公文書の管理もすべて、同じシステム上から行うことができるのが外部連携API。自動で申請書を作成できたり、本人入力ページから社員が直接入力できたりと労務関連の工数を大幅に削減可能です!
オフィスステーション | ジョブカン | freee | |
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利用月額 (50人相当) |
100円 /1ユーザー |
500円 /1ユーザー |
355円 /1ユーザー |
対応帳票数 | 90種類以上 | 7種類 | 27種類以上 |
既存システム との併用 |
〇 | × | 〇 |
社員ページ の有無※ |
〇 | 〇 | × |
サポート体制 | コールセンター、メール、社会保険労務士有資格者あり | メール、チャット、電話 | メール、チャット、電話 |
オフィス ステーション |
利用月額(50人相当) | 100円 /1ユーザー |
対応帳票数 | 90種類以上 | 既存システムとの併用 | 〇 | 社員ページの有無 | 〇 | サポート体制 | コールセンター、メール、社会保険労務士有資格者あり |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ジョブカン | 利用月額(50人相当) | 500円 /1ユーザー |
対応帳票数 | 7種類 | 既存システムとの併用 | × | 社員ページの有無 | 〇 | サポート体制 | メール、チャット、電話 |
freee | 利用月額(50人相当) | 355円 /1ユーザー |
対応帳票数 | 27種類以上 | 既存システムとの併用 | 〇 | 社員ページの有無 | × | サポート体制 | メール、チャット、電話 |
※社員ページ…マイナンバーなど本人でないと分からない入力手続きを、社員ページを設けることで直接社員が入力することで、人事部の労務担当者の工数が削減できます。
【人事担当T】
・年齢:28歳
・役職大手企業N社の人事部で働くキャリアウーマン。
e-Govの導入義務化に伴い、上司から「e-Govを調べろ!」と言われるがままに調査開始。
もともとWEBの知識は少ないため、e-Gov公式サイトを見てもチンプンカンプン。「こんな使いにくいシステムなの?」と不安と怒りを覚えている。
【人事部長M】
・年齢:55歳
・役職大手企業N社の人事部長。
「人事改革(働き方改革)」の使命のもと、e-Gov導入を推進。「e-Govを使えば定時に帰れる!」「簡単なシステムだから安心しろ!」と部下に啓蒙するものの、Tをはじめ一部の従業員からは非難の声もチラホラ。甘いマスクのナイスミドル。
e-Govとは、国の各府省の電子申請・届出などの案内・受付窓口を一元化することを目的に総務省により運営されているポータルサイトで、「電子政府の総合窓口」とも呼ばれています。電子申請とは、現在紙によって行われている申請や届出などの行政手続を、インターネットを利用して自宅や会社のパソコンを使って行えるようにするものです。 e-Gov電子申請システムは、時間にとらわれず、24時間いつでも、各府省が所管する様々な行政手続について申請・届出を行うことが可能です。
部長、e-Govについていろいろ調べているんですが、すごく使いにくいシステムですよ、これ。
おい、国が作ったものに何を言っているんだ。しっかり頼むぞ。
しっかり頼むと言われても…。だいたい、e-Govのメリットって何ですか?
そんなこともわからないのか?e-Gov電子申請システムのメリットは大きく5つある。
まずひとつ目は、「24時間365日いつでも申請できること」だ。役所が閉まっている時間でも、届け出や申請ができる。便利だろ?
はあ…。うちの会社の勤務時間は役所と同じですよ。残業しろってことですか?
まだあるぞ。窓口に行ったら保険料を払わなければならんだろ?e-Govになれば、インターネットバンキングやモバイルバンキングなど「保険料を電子納付できる」んだ。
現金だと経費精算の手間が生じるだろ?e-Govになれば、支払い履歴がデータで残るんだから、清算の手間も省けて、あっぱれだろ?
部長、そうは言ってもe-Govは全然普及していないんですよ。
総務省の「改善促進手続のオンライン利用状況」の調べだと、e-Gov電子申請の使用率はわずか13.9%(平成28年度における行政手続のオンライン化の状況/厚生労働省)しかないんです。明らかに使いにくいから、普及しないんですよ。
それは、いつのデータだ?
平成28年度です。
もう平成じゃないんだ。いまは令和だ!
関係ないし…。
第一、令和2年度(2020年度)の4月から、うちの会社を含めて義務化されるんだから、国の言うことに従え!
政府は2020年4月1日(令和2年度)から、雇用保険や労働保険などの一部手続きについて、電子申請による申請・届出の義務化を決めました。
義務化の対象となる企業は、資本金もしくは出資金が1億円を超える大企業です。
また、対象の手続きは「被保険者資格取得・喪失届」「被保険者転勤届」「概算保険料申告書」など一部の手続きについてです。
対象企業が対象手続きをする際は、2020年4月1日以降はすべて「e-Gov電子申請システム」で行わなければなりません。
義務には従いますよ。だけど、はっきり言って、e-Gov電子申請は使いにくいんです!
いろいろ調べましたけど面倒な作業ばっかりで、逆に残業が増えるかもしれませんよ!
残業が増える?そんなはずないだろ。なんで増えると思うんだ?
まず、準備が面倒くさい。理由は3つあります。
e-Govを利用するには、事前準備が大切です。その内容は、ちょっと面倒。
でも、解決策はありますのであきらめないで!これを乗り切れば、業務効率の大幅アップが期待できます!
e-Gov電子システムは、どのパソコンでも利用できるわけではありません。
利用するには、「Windows7、8.1、10のいずれかの日本語OSをインストールしたパソコン」であること。Macでは使えないのです。
e-Gov電子申請を利用するには、「電子証明書」が必要です。
電子証明書は、「認定局」と呼ばれる指定機関より交付されますが、その際、申請者の住民票と印鑑証明書、代表者の印鑑証明書や商業登記簿謄本などの書類をすべてそろえる必要があります。
しかも、電子証明書は会社単位での取得が必要です。これまで親会社がまとめて申請・届出していたというグループ企業の場合、2020年度からは各社で申請・届出をする必要があります。
e-Govを使った申請・届出は、Internet Explorerなどのブラウザを通じて行います。
その際、画面の切り替えなどでポップアップ表示が多数出てきますから、ポップアップブロックの設定を無効にする必要があります。
そうか。でも、まあ、準備をしっかりしておけば、導入後はラクになるだろ。
いいえ。導入後も、使いにくい点がけっこうあるんです。
準備が済んだら、いよいよ運用へ。しかし、ちょっとクセのあるシステムに四苦八苦するかも。でも、このヤマを乗り切れば「残業なし」「働き方改革の実現」を達成できるかもしれないので、頑張りましょう!
Wordとかで申請書様式を提供されているけど、入力しづらい!
特に、入退社の多い大企業だと漏れが生じやすいから、しっかり管理する必要があるの。
ペーパーレスとか言いながら、一部企業では紙の手続きがなくなるわけじゃないんです。
どこに不備があるのか調べるくらいなら、最初から紙の申請をしたほうがラク。
自社で労務管理システムを持っていても、結局、e-Govを申請するときは1から手入力しなければならないの。
「指定可能な文字以外が指定されています」とか、エラーが出まくるって話も…。
急いでいるから電話しているのに、全然つながらなくてストレス↑↑↑
パーソナライズという事前登録の機能を使うと、基本情報とか重複する入力項目を省けるみたい。だけど、別の手続きをするたびに、ログインをし直さないといけないことがあるらしい…。何のためのログイン?
ユーザーIDとパスワード以外にも、それぞれの手続きごとに発行される「問合せ番号」がないと、手続状況など照会ができなくなることも。
ただでさえ忙しいのに、こんな面倒なシステムの使い方を覚えていられない!
大丈夫だよ!ボクがe-Gov電子申請を簡単に使う方法を教えるから。
えっ?あなた誰?
APIクンといいます。よろしくね。
e-Gov対応外部連携API【API(アピ)くん】
・年齢不詳
・システムについてやたら詳しい、AI(人工知能)
e-Govが抱えている問題点について、適切な使い方や解決法をアドバイスします!
もしかして、あなたが入力業務をしてくれるの?
ボクじゃないけど、「外部連携API」がサポートしてくれるよ!
外部連携API?
外部連携APIとは、申請データの作成や申請、公文書取得などをお手伝いしてくれるサービスのことさ。
例えば、自社システムで作成したCSVデータをインポートするだけでe-Gov申請書を作成できたり、一括申請などで漏れ防止や書き方をナビゲートしてくれたりするシステムもあるんだよ。
何よりも、ソフトウェア開発会社とか民間企業が作ったシステムだから、わかりやすくて使いやすいというのが特徴だね!
e-Govのサイト上での申請や、一括申請よりメリットが大きいから、ぜひ比較してね!
e-Govサイト上で電子申請 | 一括申請で電子申請 | 外部連携API を使った 電子申請 |
|
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パソコンOS | Windowsのみ | Windowsのみ | 制約なし |
e-Govサイト上での操作 | 必要 | 必要 | 不要 | 複数手続の同時申請 | × | 〇 | 〇 |
申請データと到達番号の関連付け | × | × | 〇 |
進捗管理の労力削減 | × | 〇 | 〇 |
進捗管理の労力削減 | × | 〇 | 〇 |
e-Govサイト上で電子申請 | パソコンOS | Windowsのみ | e-Govサイト上での操作 | 必要 | 複数手続の同時申請 | × | 申請データと到達番号の 関連付け |
× | 進捗管理の労力削減 | × | 外部ソフトウェアの必要性 | × |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一括申請で電子申請 | パソコンOS | Windowsのみ | e-Govサイト上での操作 | 必要 | 複数手続の同時申請 | 〇 | 申請データと到達番号の関連付け | × | 進捗管理の労力削減 | 〇 | 外部ソフトウェアの必要性 | 〇 |
外部連携APIを使った電子申請 | パソコンOS | 制約なし | e-Govサイト上での操作 | 不要 | 複数手続の同時申請 | 〇 | 申請データと到達番号の関連付け | 〇 | 進捗管理の労力削減 | 〇 | 外部ソフトウェアの必要性 | 〇 |
そうなんだ。なんだか便利そう!
ところで、実際にシステムを使うのはTさんだよね?e-Gov労務申請で煩わしいと思ったことって何かあるかい?
入力がとにかく使いにくいし、二度手間が多すぎる!電子化するんだから、もっと効率よく申請できないと意味ないじゃん!って思う。
そうだねー。e-Govは省庁ごとに申請窓口があって、申請方式はみんなバラバラ。だから、使い勝手悪いんだよね。実は、政府もこれは認めており、民間が開発した外部連携APIを推奨しているんだ。
そうなんだ。それって、何ていう商品か教えて!
では、e-Govに対応しているオススメの労務管理システムを紹介するね!
e-Gov対応の外部連携APIを使うと、自動で申請書を作成できたり、届出書類を簡単に作成できたり、e-Gov受付状況や過去のデータを簡単に確認できたりと現場の作業工数を大幅に削減できます!APIごとに機能が違ったりしていますので、使用目的に沿ったAPIを選ぶようにしましょう!
オフィスステーション | ジョブカン | freee | |
---|---|---|---|
利用月額 (50人相当) |
100円 /1ユーザー |
500円 /1ユーザー |
355円 /1ユーザー |
対応帳票数 | 90種類以上 | 7種類 | 27種類以上 |
既存システム との併用 |
〇 | × | 〇 |
社員ページ の有無※ |
〇 | 〇 | × |
サポート体制 | コールセンター、メール、社会保険労務士有資格者あり | メール、チャット、電話 | メール、チャット、電話 |
オフィス ステーション |
利用月額(50人相当) | 100円/1ユーザー | 対応帳票数 | 90種類以上 | 既存システムとの併用 | 〇 | 社員ページの有無※ | 〇 | サポート体制 | コールセンター、メール、社会保険労務士有資格者あり |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ジョブカン | 利用月額(50人相当) | 500円/1ユーザー | 対応帳票数 | 7種類 | 既存システムとの併用 | × | 社員ページの有無※ | 〇 | サポート体制 | メール、チャット、電話 |
freee | 利用月額(50人相当) | 355円/1ユーザー | 対応帳票数 | 27種類以上 | 既存システムとの併用 | 〇 | 社員ページの有無※ | × | サポート体制 | メール、チャット、電話 |
※社員ページ…マイナンバーなど本人でないと分からない入力手続きを、社員ページを設けることで直接社員が入力することで、人事部の労務担当者の工数が削減できます。
3,600社以上で導入されている(※2019年3月末時点)クラウド型の労務管理システムです。97種類もの帳票が標準搭載されており、社会・雇用保険や労働・労災保険などさまざまなe-Govの手続きに対応。既存システムと併用が可能であるため、従業員数や業種・業界を問わず、幅広い企業で導入が可能です。
また、常設のサポートセンターを完備しており、システムの使い方がわからないなど不明点があれば、メールや電話でしっかりサポート。社労士資格を持ったオペレータもいるので、法改正の相談なども対応できます。
充実した機能に手厚いサポートが付いたシステムを、リーズナブルな価格で利用できることも魅力です。
「ジョブカン」は、労務に関する幅広い業務を自動化・効率化する労務管理システムです。従業員情報はクラウドで一元管理。住所やマイナンバーなど個別のプロフィールをはじめ、人事異動、在留資格、社会保険や労働保険の手続きといった過去の手続き履歴についても、しっかり管理します。
従業員情報の項目は自由にカスタマイズでき、会社に必要な情報を多様な形式で情報収集し、労務業務をしっかりサポートしてくれます。
「人事労務freee」には、労務管理だけでなく経費精算・処理に関する機能も搭載しています。freee株式会社が提供する「会計freee」と連携させることで、従業員ごとの承認された経費精算額を、給与に自動反映させることも可能です。
控除すべき税金や保険料といった経理処理も自動計算してくれますし、給与計算にかかわる煩わしい業務から開放されることでしょう。
e-Gov対応する外部連携APIの労務管理システムを14社ピックアップして紹介します。各システムの機能や操作性、実際に使っている実務担当者の声(事例)なども集めましたので、システム選びの参考にぜひご覧ください!
e-Govで最大の”ヤマ”といわれるのが「設定」です。どんな便利な外部連携APIを導入しても、この設定をクリアしなければ、使いものになりません。難関でもあるe-Govの設定方法を、わかりやすく紹介します。
設定が完了すれば、あとは申請画面に入力するだけ…と思いきや、もう一つのヤマが立ちはだかります。とりわけ基本情報の入力、そして申請メニューを選択してからの入力は、e-Govならではのクセがありますから注意が必要です。
e-Govが使いにくいといわれる一因に、「エラーが多いこと」が挙げられます。間違いなく入力をしているつもりでも、お役ならではの用語やシステムで把握できない文字を使うと、エラー表示に。よくあるエラーと対処法をまとめました。
e-Govを使っていると、耳慣れない用語もたくさん出てきます。「個別ファイル署名」「連名申請」「.NET Framework」といった用語を、正しく理解していますか?わかりにくいとされるe-Govの用語を、わかりやすく解説します。